まいぷれ長野の少し役立つコラム
~全国こども食堂アンケート結果から読み解いてみました!~
写真:PIXTA
2022年12月、「NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ」から「こども食堂全国箇所数調査2022結果」が発表されました。今回はその調査結果について考察します。
調査期間は2022年9月~11月。各県とも総括している団体等が回答しています。ちなみに長野県は、県民文化部子ども若者局次世代サポート課と公益財団法人長野県みらい基金です。
まず、箇所数について。県内で149カ所でした。前年より3カ所減です。全国では総数7,331カ所で1,317箇所増加しました。全国で長野県だけ減少に転じています。理由は2021年まで学習支援を中心に食事を提供していない団体も含めていましたが、2022年度より食事提供している団体を主体に箇所数を調査したところ149カ所となりました(公益財団法人長野県みらい基金。調査対象期間12カ月)。
また、2021年食事提供をしている子どもの居場所は132カ所ですから、17カ所増加したことになります。コロナ禍で開催が制約される中で箇所数が増加するという事は、むしろ身近で子どもたちが気軽に集まれる場所の必要性が益々高まったということでしょうか。
増加数トップは大阪143カ所、次は愛知県101カ所、3番目は東京92カ所でした。全て大都会です。運営している皆さんの子どもへの並々ならぬ思いが伝わってきます。
次に充足率を見ていきます。長野県の小学校数から見た充足率は355校のうち104校区と充足率29.3%で全国で12位でした。人口比でみると10万人につき7.24、全国で14位と上位でした。どちらも平均より少し高い数字です。他県と比べて特段行政が力を入れて主導している訳ではありませんが、民間レベルで皆さんの意識が高いと言えるかも知れません。
長野県の取り組みとして、設立3年以内のこども食堂に県社協から補助金が支給されますが、4年目からは対象外です。その他信州こどもカフェプラットホームでは、民間の企業・個人から寄附された食材を各こども食堂に分配する取り組みも行われています。他県で行政が力を入れている所では、コーディネーターを配置しこども食堂推進を図っているところもあります。
小学校区及び人口比で1位は沖縄県でした。小学校区で見ると充足率55%。2校区に1カ所以上あるという事です。これなら子どもたちだけでも通う事が出来ます。人口比10万人で19.8カ所。長野の約2.7倍です。これは内閣府の「沖縄子供の貧困緊急対策事業」を活用した子どもの居場所作りとボランティアによる自主運営が増加したことが要因だそうです。
この1年で飛躍的に箇所数が増加したのが島根県でした。増加率184%、前年度比2.5倍です。理由は、2020年調査で18カ所と低迷していたことに衝撃を受け、2021年度から県の委託事業「こども食堂サポート事業」をスタート。2022年には箇所数3倍になり、全国で1位の増加率となりました。沖縄や島根は、行政が本腰をいれて取り組み、予算化されたことで、こども食堂開設が容易になり、箇所数が増えていったと推察されます。
小学校区充足率2位は滋賀県、3位は鳥取県と、地方が上位を占めています。因みに東京都は箇所数は547カ所と最も多いのですが、小学校区充足率では4位、人口比では20位でした。最も少ない県は秋田県で箇所数30、小学校充足率、人口比共に47位の最下位でした。残念ながら理由は分かりません。島根県のように行政のテコ入れがあれば、伸びてくるかも知れません。
最近はWithコロナで様々な制限が緩和され、街にも活気が戻ってきています。今後こども食堂の社会的意義が再確認され、増加傾向に拍車がかかるものと予想されます。
ただし、これまでも何回かこの場で私見を述べてきましたが、数が多ければ良いというものではありません。数が多くなればなるほど目的が多様になり、本来の目的が見失われてしまう懸念が出てきます。
長野県では充足率は29.3%全国12位、人口比14位と高位置にあります。しかし、10代の自殺率は、まだまだ下位にはなっていません。青木島の公園廃止問題も全国的にクローズアップされました。このように、子どもを真ん中に置いて活動する人々、それとこれとは別と考える人、何が良くて何が悪いのか定かではありませんが、子どもが生きやすい長野県になって欲しいと思わずにはいられません。
今年度から子ども家庭庁が発足します。岸田首相が「異次元の少子化対策」を打ち出しました。東京都では少子化対策として、国に先がけて一律5,000円給付を発表しました。国の施策はこれから具体策が発表されると思います。お金を配りさえすれば良い訳ではありません。きめ細かな施策が必要です。絵に描いた餅にならないよう、隅々まで行き渡り、子どもたちの笑顔が絶えない世の中になりますように。子どもたちの大声が響き渡るような社会になる事を期待したいと思います。
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