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こども食堂のおばちゃんのコラム

全国こども食堂支援センターむすびえ アンケート

 「こども食堂の現状と困り事アンケート結果」で見えてきたこと 8

写真:PIXTA

全国こども食堂支援センターでは、2023年6月7日~21日までの14日間、第8回こども食堂の現状と困り事アンケートを実施しました。その結果が公表されましたので、今回お伝えします。

 

回答数は742ヶ所。全国のこども食堂総数は7,363ヶ所ですから、約1割の回答率となります。長野県のこども食堂箇所数は149ヶ所で解答は8ヶ所。回答率5.4%でした。開設総数は全国で13番目でしたが、回答数は37番目。こども食堂全部が、全国こども食堂支援センター・むすびえに登録している訳ではないので確かなことは言えませんが、こうしたアンケートにあまり関心が無いのか、もしくは、支援センターに登録しない、またはその存在を知らないのかも知れません。

 

今回は主に「こども食堂の開催形態」と「困り事」と「開催の理由」の3項目に絞って見ていきます。

 

まず、こども食堂の開催形態から見ていきます。こども食堂開始年度は、2020年~22年の3年間で39.6%と高い数字です。この数字はコロナ禍真っただ中で開設した食堂です。それまでの既存のこども食堂はコロナ禍で休止や形態の変更・規模縮小を余儀なくされている時期に、あえて開設した理由は何でしょうか?

 

推測ですが、自粛ムードや外出制限がある中で、せめて子どもたちが集える場所が必要だと、感染リスクの高い時期にあえて開設に踏み切ったのかも知れません。また回答した食堂がこの2~3年に開設した日の浅い食堂が多かったため、数字が高くなったとも言えます。

 

開催形態に関して、従来通り会食形式のこども食堂が35%と、前回14.7%(2022年11月)に比べ倍以上になりました。会食+食材配布を加えると70.6%で、かなり回復していると言えます。コロナ5類に変更後のアンケ―トですから、会食が増えるのは当然と言えます。7月以降会食再開予定を含めると83%が何らかの方法で開催を予定しています。また、会食形式のこども食堂の非開催理由で「感染防止が困難」が24.9%で「会食より弁当・食材配布の方が活動の目的にかなうため」の24.4%と同じ位の数字が出てきました。

 

実は当ほっとキッチンで似た現象が起こっています。3年前、会食から食材・弁当配布に切り替えたところ、それまで縁のなかった家庭からの申し込みが全体の約8割になりました。ほとんどがひとり親家庭です。

 

今年5月、3年ぶりに会食を再開したところ、そのほとんどが会食には参加していません。皆と一緒の食事が苦手という子もいました。それぞれの事情が垣間見えてきました。「皆と一緒の食事は話しが弾んで楽しいはず」という先入観があったのかも知れません。「こども食堂は子ども達の居場所として開設するのだから、その名の通り会食をするべき」という固定した考えがあったのかも知れません。

 

保護者が仕事で忙しく、子ども達だけで食事をしなければならない状況で、皆で集まってワイワイガヤガヤおしゃべりしながら食事をするのはとても楽しい時間です。実際、「家で食事するとあまり食べたがらないのに、こども食堂に来て皆と一緒に食べたらびっくりするくらい、いっぱい食べた」と嬉しそうに話をしてくれたお母さんがいました。こども食堂ならではのコメントです。

 

その一方で、保護者は有料で例え300円でもちょっと二の足を踏んでしまうと、そっと打ち明けてくれた保護者もいました。この二つの側面から、会食形式のこども食堂とフードパントリ―を行っているこども食堂とどちらが良いかという議論は成り立たない、答えなんか出ない、そもそも立ち位置が違うのではないか、と悩んでしまいました。

 

次に「こども食堂での困り事」で最も多かった回答は「必要な人(貧困家庭等)に周知・広報し支援を届けること」が27.2%とトップです。これは毎回トップに上がっています。貧困家庭を意識するのであれば、むしろ広報せずそっと支援を行った方が、より届きやすいのではないかと思うのですが、如何でしょうか?

 

もしくは、実際困っている家庭が参加しても、中々自ら困っているとは言いづらいのではないかと推察されます。だからこそ、信頼関係を築く事で話せる雰囲気を作ることが最も重要と考えます。全国こども食堂支援センターむすびえでは、こども食堂は貧困家庭が対象ではない、と明言しています。にも関わらずアンケートで困り事は「必要な人(貧困家庭等)に周知・広報し支援を届けること」がトップに上がっています。その辺が少々矛盾を感じています。建前と本音の違いでしょうか?

 

最後に、少し一つ気になった項目がありました。5月8日からの5類変更後の食堂開催についての理由です。最も多かった理由が「みんなで食事が出来るこどもの居場所を作りたいという運営スタッフの気持ちが強いから」が60%、2番目に多かった理由が「会食形式のこども食堂を実施して欲しいという利用者のニーズが大きいから」が10%と大きな隔たりがありました。つまり、子ども及び保護者からの要望はそれほど多くないという結果でした。この差の理由は何なのでしょうか?

 

もしかして、大人の気持ちが先走りしているのでしょうか? 前述したように、ほっとキッチンでも会食への希望はそれほど多くはありませんでした。食材配布を続けて欲しいという要望が強く、そのため食材配布は今も続けているというのが現状です。

 

他県でのことですが、自由記述の項目で「コロナになって保護者の声を聞いて、とても経済的に厳しい事、昨今の物価高騰、電力値上げでお弁当と食材配布が生活の支えになっていることを知り、会食形式だけには切り替えることは難しい」と報告が寄せられました。全く同感です。多分コロナ前はそうした家庭の実情に想いを寄せることなく、皆で集まって楽しくおしゃべりしながら食事することが、子どもにとって最善と考えていました。しかし、コロナになって一同に会して食事をすることが出来なくなったとき、別の視点で見直してみたら、気づかなかったことが見えてきたように思います。

 

今年5月以降、コロナ5類に変更し人々の生活が元に戻りつつありますが、この間の社会の変化、意識の変化が少しずつ見えてきています。こども食堂は長野県で149ヶ所、運営者によってそれぞれ方法や考え方が違っています。何が良いのか答えはありません。

 

今後もそれぞれが置かれた場所で、地道に活動を繋げていかなければなりません。目的が本当に子どもの為の活動なのか、こども食堂を利用して真の目的が別にあるのではないか……と首を傾げたくなるような活動が見かけられるという噂も耳に入って来ます。残念なことに、それらを線引きする手立てはありません。変な噂が立って、まじめに取り組んでいるこども食堂の皆さんの存在が薄れて行かないように祈るばかりです。私たちは真の意味で、子どもの健全な成長を見守っていく責務があり、その一助になればと心より願っているのですから。

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