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こども食堂のおばちゃんのコラム

ヤングケアラー問題を考えてみました

画像:PIXTA(ピクスタ)

近頃ヤングケアラー問題がクローズアップされています。ヤングケアラーとは、いったいどんな状況下に置かれている子ども達のことでしょうか?

ヤングケアラーとは本来大人が担うと想定されている家事や家族の世話などを日常的に行っているこどもの事(こども家庭庁より)

と定義しています。もう少し具体的に説明すると「家事や家族の世話はごく普通の事と思われるかも知れません。でも本当なら享受できたはずの、勉強に励む時間、部活に打ち込む時間、将来に想いを巡らせる時間、友人と他愛のない時間、これらの“子どもとしての時間”と引き換えに家事や家族の世話をしていることがあります」という事です。

 

例えば、

1.障害や病気のある家族の代わりに買いもの・料理・掃除・選択など家事をする

2.家族の代わりに幼いきょうだいの世話をしている

3.障害や病気のあるきょうだいの世話や見守りをしている

4.目を放せない家族の見守りや声かけなどの気遣いをしている

5.日本語が第一言語でない家族や障害のある家族のために通訳をしている

6.家計を支えるために労働して障害や病気のある家族を助けている

7.アルコール・薬物・ギャンブル問題を抱える家族に対応している

8.がん・難病・精神疾患など慢性的な病気の家族の看病をしている

9.障害や病気のある家族の身の回りの世話をしている

10.障害や病気のある家族の入浴やトイレの介助をしている

等が例として挙がっています。

 

厚労省で令和2年・3年でヤングケアラーの実態調査を行いました。

それによると、

家族の世話をしている:小学6年/6.5%、中学2年/5.7%、高校2年/4.1%、大学3年/6.2%という結果が出ました。クラスに1人以上いると想定されます。また、家族のケアに掛ける時間は、平日1日平均4時間弱と言う調査結果も出ています。

 

長野県でも2022年9~10月にかけて、ヤングケアラーの実態調査が行われました。

対象は小学校5・6年生35,000人、中学生54,900人、大学・短大生19,000人、このうち小・中学生について簡単に報告します。回答率は8~9割でした。

 

家族の世話をしている:小学生11.6%、中学生6.3%。前述した文科省の数字と単純に比較は出来ませんが、全国平均より高い数字が出ています。

 

世話をしている家族の内訳は、

1.高齢(65歳以上):小学生38.4%、中学生66.6%

2.幼い弟妹:小学生49.5%、中学生:67.3%となっています。

 

これまで日本の家族は「家」の意識が高く、家族の問題は家族で負担・解決することが一般的と思われてきました。ですから、弟妹の面倒を見る、同居若しくは近所に住むおじいちゃん・おばあちゃんの面倒を見るのは当たりまえと捉えていると推察されます。実際、“世話をしていることによる家や学校での生活に対する影響は特に無い・または無回答”であると小・中学生共に約8割が答えています。しかし裏を返せば約2割が、影響があると答えていることになります。内訳は1位:自分の時間が取れない、2位:宿題や勉強をする時間が取れない、3位:睡眠が充分とれない、と続きます。特に睡眠不足は深刻な問題だと思われます。睡眠不足は生活全般に悪影響を及ぼし、大事な成長期に心身ともに疲弊させてしまう懸念があります。

 

こうした問題について、“相談したことがある”の問いに、“有る”と答えた子どもは小学生17% 中学生13%でした。ほとんどが、相談するほどの悩みではないと答えています。但し、“相談しても状況は変わらないと”答えた子どもが1割強でした。これは、相談するほどの悩みではない、という回答の真逆の諦めの気持ちが底にあるのでは、と思われます。

 

周囲に期待する支援については、“特にない・無回答”が小・中学生とも半数以上でしたが、小学生:自分の事について話を聞いて欲しい11.9%、中学生:学習サポート14%、と言う意見がありました

 

また、自分がヤングケアラーであると自覚している:小学生8.7%、中学生1.5%であり、ヤングケアラーの認知度は聞いたことがあり内容も知っている:小学生9.8%、中学生27.7%と年齢が上がると認知度が上がっています。ヤングケアラーという言葉自体、日本で取り上げられるようになってからまだ10年足らずです。よく耳にするようになったのはここ数年でしょうか。

 

筆者が運営している「中高生・若者ほっとキッチン」では、ヤングケアラーと思われる複数の子どもと関わっています。“思われる”とは、直接本人からではなく保護者の方から話を聞いたことがあるという意味です。親子どちらも自らヤングケアラーの家庭であることを言い出しにくいのでしょう。一定の期間以上の関わりの中で家庭の事情を推察したにすぎません。そうした状況の中で気持ちを聴かせていただきました。“一番有難いのは手作り弁当をいただけること”とおしゃいました。“なかなか手作りの美味しい食事の用意が出来ないことが多く、とてもありがたいと同時に作って下さった方の温かい気持ちが籠っていて毎回癒されています”と感想を話してくださいました。“子どもに家事・世話を担ってもらう事が多く、子どもらしい生活を送らせてあげられることがままならず、心苦しい思いです。そんな中で、いただいたお弁当を美味しそうに頬張る子どもの顔をみて、ほっとしています”とも。

 

実態調査の中で“相談しても何も変わらないと思う”と言う回答がありました。そして周囲に期待する支援は“特にない”が半数近く答えています。しかし前述したように、民間レベルで心と心が通う小さな支援は必ずあるはずです。残念ながら、行政や学校からは実態について何も聞かされていません。現在どんな支援体制が敷かれているのかもわかりません。草の根の活動に結びつけられる手立てはないものでしょうか。実際目の前に居る子ども達を放っておくわけにはいかないのですから。制度が出来ても、子ども達が子どもらしく日々の生活を送れなければ何の価値もありません。折角行政が動き始めているのですから、何とか一人でも多く子どもらしい生活を送れるよう、私達も民間の立場からアンテナを張って発信していきたいと考えています。

 

参考:こども家庭庁「こどもがこどもでいられる街に」  

   長野県県民文化部こども若者局次世代サポート課「長野県ヤングケアラー実態調査」

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