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キラリ☆和歌山人

「なるコミ」一人ひとりが健康で輝ける地域の居場所づくり

宇都宮病院副理事長、企画室長 宇都宮越子さん

2022/01/21

和歌山でキラリと輝く活動をされている方を紹介する「キラリ☆和歌山人」。今回は、宇都宮病院(和歌山市鳴神)副理事長、企画室長であり、NPO法人健康とコミュニティを支援する「なるコミ」代表理事の宇都宮越子(うつのみやえつこ)さんを取材してきました。コミュニティスペース開設の経緯から、地域の皆さんとの連携、薬膳、SDGsまで色々お話して頂きました!!
宇都宮病院理事、企画室長、NPO法人健康とコミュニティを支援する「なるコミ」代表理事の宇都宮越子さん
宇都宮病院理事、企画室長、NPO法人健康とコミュニティを支援する「なるコミ」代表理事の宇都宮越子さん
和歌山市鳴神にあるコミュニティ、略して『なるコミ』。ここでは、お昼は薬膳ランチ、午後は健康体操や文化教室、子ども食堂を通じて地域の方の健康づくり、生きがいづくりを行っています。地域の皆さんになくてはならない「気軽に立ち寄れる居場所」。そのなるコミを企画・運営しているのが宇都宮越子さんです。


※「なるコミ」は、コロナ感染予防の為、状況により休業や講座を開催中止にしています。
現在:2022年1月末まで休業

地域の高齢化と、病院の立て直しから始まった「地域のコミュニティ」づくり

健康とコミュニティを支援する「なるコミ」外観
健康とコミュニティを支援する「なるコミ」外観
ーー「なるコミ」は、もともと病院の立て直し、病院改革から始まったとお聞きしたのですが、「病院を地域の方のコミュニティの場に」と思われたのにはどういう経緯があったのですか?

鳴神の地域の方が買い物していた2軒のスーパーがなくなってしまったことが大きなきっかけです。
ちょうどその頃、古い看護師寮の建物をどうしようか、何かできないかと考えていました。初めは有料老人ホームにしようかとも思ったのですが、地域の方から「どこも行くところがない」とか「どこかで体操が出来たらいいな」という声を聞いたんです。
病院が地域の居場所づくりをしている例があまりなかったので、これから10年、20年先を考えたら、地域の方に利用してもらって、何かあった時には当病院に来てもらえるようになればいいなと思いました。それで、採算は合わないかもしれないけれど一度やってみようか!ということで「なるコミ」が始まったんです。

ーーまず何から始めましたか?

人が集まらないとコミュニティにならないので、まず“どうしたら人が集まるか?”を考えました。とりあえず、“美味しいものと楽しいことがあったら人は来るよね?”と思い、「健康」をテーマに、薬膳の勉強をするところから始めました。

ーー意外です!もともと薬膳の資格をお持ちだと思っていました!

なるコミをきっかけに、1年半かけて勉強しました。「食べ物にも薬と同じだけの効能がある」をコンセプトに、地元で手に入る食材、季節の旬のものを使って、食材同士の組み合わせで体の熱を取ったり、体力や免疫力アップできるというのが私たちの考え方です。メニューは、職員の皆に何度も試食してもらって作りました。

薬膳アドバイザーによる季節に応じた「薬膳ランチ」で、美味しく食べて健康をサポート

肉か魚のメインが選べる上、沢山の薬膳の惣菜小鉢が付いた薬膳ランチ。ご飯・スープ・副菜おかわり自由で1,000円 (税別)。トレーに使用されているヒノキには防虫、殺菌効果があるのだそう。紀州材の間伐材を使用。
ーーなるコミの外来食堂で頂ける「薬膳ランチ」は、小鉢や食材の種類が多く、一つ一つ手が込んでいて驚きました!薬膳と聞くとあっさりのイメージですが、ガッツリ食べたい方でも満足できるボリュームがあって、何より美味しいですね!

そう、薬膳と聞くと「まずい」、「苦い」のイメージですよね。でも体に良くて美味しいが大前提です!季節や体調に応じた食事を摂ることで体のバランスを取り、健康を保つという考え方でメニューを考えています。お客様は、どなたでもご利用頂けますが、「(料理が)早く出てくるから」という理由で意外に男性が多いです。
また、病院の生活習慣病検診を受けて頂いた方にもこのランチが付いています。
薬膳を通じて、地域の方はもちろん、皆様の健康をサポートできればと思っています。
季節に合わせて「体調を整えてくれる食材」。<br>メニューにも丁寧な説明が書かれている。
季節に合わせて「体調を整えてくれる食材」。
メニューにも丁寧な説明が書かれている。
料理長が朝4時から仕込みをしている厨房。<br>ひと手間かけた薬膳ランチは大好評!
料理長が朝4時から仕込みをしている厨房。
ひと手間かけた薬膳ランチは大好評!

なるコミ継続のために開発された「グラマラ酢」の販売も!

「グラマラ酢」。煮もの揚げ物、酢飯やピクルス、サワードリンクや薬膳ハイボールまで幅広く使えます。
「グラマラ酢」。煮もの揚げ物、酢飯やピクルス、サワードリンクや薬膳ハイボールまで幅広く使えます。
代表理事の宇都宮さんと薬膳料理長がレシピ開発、(株)ふみこ農園で製造されている「グラマラ酢」。(株)九重雑賀九重酢をベースに温州ミカンの皮・山椒をブレンドして香りと味のアクセントをつけた便利酢で、今では東京や大阪などの有名イタリア料理店や寿司屋、和食店でも使用されているほど人気のお酢だそうです。

※なるコミ他、なるコミのホームページからも購入できます。

食品ロスが出ない、みんなが喜ぶ「なるコミのSDGs」

SDGsが盛り上がる前からですが、薬膳レストランの副菜はコロナ前はバイキング形式、コロナ禍の今は、おかわり自由で提供していることもあり、結構たっぷり作っています。余った分は、お昼の2時を過ぎたらデパ地下のようにお惣菜パックとして100円、200円で販売しています。これを目当てに買いに来てくれる地域の方や仕事終わりの職員達も。お惣菜を買って、近くのお肉屋さんのコロッケ買って帰ったらとりあえず晩御飯完璧ですし!薬膳のお惣菜なので、時間がなくても栄養満点の食事が出来ます。お子さんの塾前の食事や、晩酌時のおつまみにも惣菜パックを買って帰る職員がいますね。食材ロスも出ず、地域の方にも好評です!

地域と連携する『なるコミ』を参考に、各地で広がるコミュニティづくり

ーーなるコミの運営方法や色々な企画はいつも宇都宮さんが考えられるのですか?

そうですね、突拍子もないことを言って皆に「えー!」と言われます。
私は、もともと看護学校の教員や美容系のサロン経営などをやっていましたが、結婚後、急に病院の理事(現在は副理事)に。それまで全く経営の知識を学んでいなかったので、30歳を過ぎてから大阪市立大学経営学研究科に進学、大学院も修士2年間行き、MBAの資格を取りました。その頃色々な事に自分の考え方が固いと気付かされました。大学院で学んだことが思想的に影響していますね。

ーー「子ども食堂」でもそうなのですが、周りの色々な方が宇都宮さんのアイディアに賛同し、一緒に動かれている印象があります。なるコミはお年寄りだけではなく、お子さんやそのご家族など幅広い年代の方、どなたでも集まれる場所でとてもいいですね。

はい、多世代でと考えていました。誰でもウェルカムです!和歌山に嫁いで来て感じたことですが、自治会がしっかりしているにも関わらず、高齢の方やいつも同じ方だけで集まっていたので「卓球やペタングやってるよ」と誘って下さっても行きづらいことがありました。
なるコミは世代を問わず「いつ行ってもあそこは楽しい!皆に会える!」そんな場所にしたいと思っています。

ーー病院をコミュニティスペースにされている珍しい事例ということで、他の都道府県でも「なるコミ」を参考にされている所があるそうですね。

はい。コロナになる前は、病院関係や社会福祉法人の方々が、月2件ほど見学に来られていました。山口、広島、秋田、栃木、東京など県外からが多かったですね。

ーーなるコミの場合は病院ですが、違う場所、施設でも地域の居場所が増えてほしいと思いますが、難しいんでしょうか?

病院、学校、神社は地域に絶対あると思うんですよ。そのような公益的なところがコミュニティの場所として担ったらいいんじゃない?と思うんです。ただ、学校は先生の負担が大きくなりますけれど。

ーー確かに、一つの場所だけでやろうとすると難しいかも知れませんね。なるコミは、地域の学校などと連携はされていますか?

はい、宮小学校、日進中学校と連携しています。チラシの設置や10月にある「なるコミ祭り」などのイベントをPTAのみなさんに連絡してもらっています。
学校以外にも、なるコミを始める時、自治会の方や民生員さん達と会議をして「地域の方の為にどういうことをやったらいいのか」を相談をさせて頂きました。オープン日に自治会の方にお花を頂いてすごく嬉しかったのを覚えています。オープニングセレモニーで薬膳料理をふるまった際は地域の方が200人も来てくださって。歓迎ムードで迎えてくださっていることが分かり、本当に嬉しかったです。ボランティアの講師の方達も、「私の知り合いや周りにこんなことしてる人がいる」と教えて下さり、講座やイベントもあっという間に増えていきました。
本当にみなさんに支えて頂いています。

7年目の「なるコミ」。地域の皆さんが自分たちの居場所だと感じてくれている喜び。

ーーオープンから7年経って変わったことはありますか?

皆さんが自分達の居場所と思ってくださるようになったなと感じます。「ピアノの練習がしたい」、「6時から使わせて」など希望の方にはスペースを無料で自由に使って頂いてます。
他にも、近所の方がお茶を飲みに来て下さったり、雨宿りがてら寄って下さったり、「卓球したいから卓球台買って」、「麻雀の台数が足らないから買って」と言われることもあります。
。お店で売っているパンを買って一緒に食べる方もいらっしゃいます。夏場はお子さんが ソフトクリームを食べに来てくれています。(セルフのソフトクリームの機械を設置している)。
よかったなと思うのは、皆さんが自分達の場所だと思ってくれているので、クレームが一切出ないことです。「あれ買って」などの要望はありますが、逆に講座などでは、「先生の交通費にしたいから貯金箱を置いてほしい」など。
自分たちの場所だから、“自分達で何とかしなくては”と思ってくれているんです。
お茶は無料、珈琲は200円。夏場はセルフのソフトクリームが人気!
お茶は無料、珈琲は200円。夏場はセルフのソフトクリームが人気!
外来食堂や講座イベント、子ども食堂など地域の方が気軽に利用できるスペース。
外来食堂や講座イベント、子ども食堂など地域の方が気軽に利用できるスペース。
ーーなるコミを運営する上で、宇都宮さんが大切にしていることはどんなことですか?

「KNOT WORKING(ノットワーキング)」、結び目(KNOT)作りみたいなことをすごく意識しています。自治会などでも、同質化し、硬直化してしまうことがあると思うんです。そうなると、上手く行かなくなったり、もめ事が起きやすくなります。
「KNOT WORKING」は、教育学者エンゲストロームが作った言葉で、「ゆるい結び目みたいなものを地域に作っておいたら、必要な時だけ必要な人とガっと結び付けて、その地域のケアができ、災害時には「この人どうしたんやろ?」「あ、あの時会ったよね?」と助け合える。そうやって、今後のSDGs持続可能な地域社会に繋がっていくのかなと思います。
ゆるい結び目を作るためには、(なるコミ施設に)来ている方がいつも同じ方ばかりだといけないので、ここは誰でもウェルカムでいつ来てもちょっとお話出来たり、食事できる場所にしようと心掛けています。

子ども食堂で、地域のみなさんに栄養のある食事や温かな団欒を!

――なるコミで取り組まれている「子ども食堂」で、宇都宮さんが利用されている方について感じることはありますか?

コロナ以降、疲れているお母さんが多いように感じます。
いつも利用されている方の中には、実態はわからないですが“大丈夫かな?”と思う方が時々いらっしゃって、今もずっとお電話しているご家庭が5件ほどあります。
シングルマザーのご家庭や、旦那さんがいても3週間旦那さんが出稼ぎへ出て、その間1人で子供を見なくてはいけないご家庭、事業がコロナでガタついて、子供が7人いらっしゃる経済的に大変なご家庭など。

ーー本当に支援を求めているご家庭が沢山いらっしゃるんですね。

お家に訪問してお米などを届けることがあるのですが、お家の様子が気になってもどこまで踏み込むかは難しいです。電話番号は教えておいて、ゆるく見守っています。
なかなか人に話せなかったり、聞いてもらう人がいない方もいらっしゃいますし、電話だから話せることもあるので、いつでも電話できる関係は必要だと思っています。
こちらで対応しきれない場合は、行政などに繋ぐこともしています。


ボランティアのみなさん手作りの温かいお弁当
寄付などで集まったお米やレトルト食品、お菓子、飲み物を食材配布している。

2021年8月、認定NPO法人の許可が。さらに住みやすい地域づくりを目指す「なるコミ」

ーー2021年8月17日和歌山県より、認定NPO法人健康とコミュニティを支援するなるコミとして認可が出たそうですね!

はい、認定NPO法人として税制上の優遇措置も受けられるようになりました。
今後も、鳴神子ども食堂をはじめ、フードパントリー事業、認知症カフェ、スプリングスクール、家事や生活の質と効率の向上を目指す薬膳アンバサダー、ミールプレップアンバサダー、ティディ&クリーンアンバサダー事業にも力を入れ、より住みやすい地域づくりを目指していきたいです。
また、足湯カフェやアンバサダー派遣事業など、地域の居場所づくりや家事支援のための、さらなる展開を視野に入れて活動していきます。
――最後にメッセージを一言お願いします。

「なるコミ」を地元の方みんなに知っていただいて、いつでも気軽に寄って頂きたいです。
自分たちの居場所だと思って、何でもみなさんの出来ることを提案してもらえたらと思っています。
編集後記

地域に目を向け、そこに暮らす人の声を聞き、柔軟に取り入れ、継続していく。簡単なように聞こえるかも知れませんが、実際にやろうとしてもなかなか実行できることではないと思います。
宇都宮さんの人柄やアイディア、行動力、「地域のみなさんのために」という思いが、人の心を動かし、なるコミに来る一人一人が自分たちの場所だと感じ、どんどんその結び目が増えていっています。
誰かと繋がっていくことで出来ることがあり、守れるものがある。改めて人と人の繋がりの大切さに気付かせて頂きました。
ぜひ、みなさんも一度「なるコミ」に立ち寄ってみてくださいね。

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