きらきらHOTな人
青空プロジェクト THE DAYで、アクティビティ体験を通じて獣害対策と地域おこしに挑戦する、君島陽一さん。
今回は、塩原地区を中心に、青空プロジェクト THE DAYとして、アクティビティ体験を提供しながら、活動を獣害対策につなげ、さらに地域おこしに広げている、君島陽一さん(41)をご紹介。
獣害対策とはちょっと聞きなれませんが、具体的にはどういったものなのでしょう?
自然豊かな塩原には、シカ、サル、イノシシといった野生動物もたくさん棲んでいます。でも、ひょっこり人間も暮らす里山に降りてきて、農家さんが一生懸命育てた野菜や稲を食い荒らしたりすることも。
君島さんは、そうした動物たちからの害を防ぐため、カヌーやマウンテンバイクなどのアクティビティの体験で里山に人を入れ、その気配を嫌がる動物たちが自然に山へと戻ることを目指しています。
高校卒業後、栃木県農業大学校に通い、多くの農家さんと交流を深めてきた君島さん。その後も子供向けのスポーツインストラクターをしながら実家の農業を手伝い、農家の方々が獣害に悩んでいる姿を、身近に見てきたといいます。
「最初は動物たちを、こんちくしょう! と思ったりもしたのですが、原因は人間にもあるんですよね。どうしたら山に戻ってもらえるんだろう? いろいろ考えて、人の気配を里山に残そうと思ったんです。マウンテンバイクに乗ったり、トレッキングをしたり、訪れた人には楽しんでもらい、一方で人の気配を嫌がる動物たちに山へ帰ってもらったらいいんじゃないかって」
そうして始めた体験プログラムのひとつには農業体験も。
こちら”農場長”の肩書を持つ、陽一さんの弟、君島徹さん。主に農業体験を担当。
2022年8月からは、一般社団法人化し、県や自治体ともタッグを組み、学校単位で子供たちに農業体験を提供するなど、さらに進化しています。
こちらはゴールデンウィークにキッズバイク体験を行ったときのようす。
アクティビティやイベントなどの活動が地域の活性化にもつながり、携わる人みんなが笑顔になれてハッピーになれるよう目指しているわけですね!
まさにWinWinの関係です^^
さて、マウンテンバイクに乗って、実際の里山パトロールに出発!
ご覧ください! この緑深き山々。箒川の奥にある山から、動物たちが下りてくるんですね。
こちらは蕎麦畑。ここでは収穫体験をしたり、子供たちが自転車に乗る練習をしたりするのにも使われているそう。
もとは荒れはてた土地を、君島さんたちが生まれ変わらせたというから、脱帽です。
よく見ると、動物たちに荒らされないよう電気柵が! 触るとビリっときちゃいます。
上から蕎麦畑を眺めると、ところどころ、畑に凹んだ部分があるとおわかりでしょうか? 電気柵でシカやサルは入り込めないようにしているものの、鳥たちが飛んできて、荒らしていってしまうそう。。。
空から飛んでくる鳥まで防ぐのは、なかなか大変です。
ときには実際にシカがかかっていることも。これはそのときの様子。
「動物たちが棲んでいる山にも決して食べるものがないわけではないんです。でも、動物たちも里山の野菜や稲などの味を知って、よりおいしい物を求めて里山に降りてくるんですよね」と君島さん。
昔から人々が通っていた古道と呼ばれるこうした古道を整地していくことも有効な対策のひとつ。
ときおり道に小枝が散乱している箇所があるのですが、それこそが動物たちが通ったあと。
「ほら、枝がいっぱい落ちているでしょう? これが獣道」、そういいながら小枝をどかして道を整えていきます。きれいに整備することで、動物たちに警戒させるわけですね。
さらに自転車を走らせると、山のふもとに君島さんのご実家も見えてきました。高原野菜などを育てる農家に生まれ、塩原で育った君島さんにとって、農家さんの悩みはとっても身近なものだったことがわかります。
時折、軽トラに乗った地元の農家の方がクルマを停めて君島さんに声をかけてくることも。
どうやら「最近あのあたりにシカがでるんだよ」なんて、動物たちが出没するエリアの最新情報を教えてもらっている様子です。
農家さんたちとの信頼関係がきちんと築かれているんですねぇ。
「地方には仕事がないというけど、こうした活動のひとつひとつは、仕事でもあるわけです。一年を通しての仕事ではなくても、季節ごと、場面ごとに地域でやるべき活動=仕事があります。今僕らに足りないのは、”マンパワー”。もし、自分にもなにかできることがあるかもと思ったら、気軽に声をかけてほしいですね」と、君島さん。
実際にマウンテンバイクで里山を走るのは、気分は爽快! 参加して塩原の魅力を感じるのもいいし、これをきっかけになにかはじめてみるのもよさそう。
精力的に活動する君島さんの姿にも、やる気と刺激をもらえますよ!
(写真・文/前田真紀)
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