栃木弁会話
(1) ある会社の休憩時間
社員A : そろそろ今年もぼーじぼくっか~
社員B : ぼーじぼ?なんだいそれ?
社員A : あれ?あんたんちの方、ぼーじぼこねげ?子供がよ、編んだ藁もってよ、組内の家一軒一軒廻んだよ。その藁をよ、地面にはだきながら、歌うたうんだわ。きたっくれ金が、おがしやんだよ。
だいたい稲刈りが終わった頃なんだげっと、矢板の方ぐれ~しか今やってね~んだわな?おおたらじゃやんねんだんべ?
社員A : 子供んころがら見たときないね~。ひらったぐ言えばハロウィンみたいなもんだわな。おもしろそうだね。大人は参加しちゃダメなの?
解説(しおり)
ある会社の休憩時間の会話です。矢板のAさんと大田原のBさんがぼーじぼの話をしていました。
ぼうじぼとは陰暦の8月15日と9月13日の夜に子供たちが家々を回り藁鉄砲(ぼうじぼ)を地に打ちつけながら、「ぼうじぼっくり山芋 大麦あたれ 小麦あたれ 三角畑の蕎麦あたれ」等と唱えて豊作を祈る子供の行事です。県北でも所違えば風習も違います。
このぼうじぼは、栃木以外でもあるところがありますよね~。豊年棒と呼ぶ地域もありますよ!
ツッコミ
日本版ハロウィーンみたいなものでしょうか
(2) 娘、どしたの?
トミ子 : あれ、しばらぐ!電話買うの?
栄ちゃん : そだよ!敬老の日にばっぱにかってやっかなと思ってよ。
トミ子 : あんたんちの娘でぎいいんだって!学校の先生やってんだって?
栄ちゃん : いやよ、去年教育学部卒業してよ、先生の採用試験うがったんだげっと、子供はらんちって、結婚して大阪いっちったんだ。
やだぐれっちゃーべ!とんびにあぶらげだよ。
トミ子 : そうなんだ~!せっかぐ大学さやったのにね。
(3) 約束事
たかし : まあだねてんのげ?
じーちゃん : 何だい?おぎむぐれっから?
たかし : じーちゃんよ、きょーっからあるぐつったのじーちゃんだんべ!
俺につきあってくろっつたんべ!
じーちゃん : あ、そうだわ!きょーっからだったな。待ってろ、すぐしたぐすっから。
たかし : 早ぐしろや、おれ学校おぐれっちゃーがら!
解説(しおり)
これは、自立語と付属語の間に「小さいツ」が入ることが多い栃木弁の特徴がよく現れている例です。
あるおじいちゃんと孫の会話です。起き抜けから何の用?とのじーちゃんに対し、今日から歩くからつき合ってと言ったのはじーちゃんでしょとやや切れ気味のたかし。たかしはは高校1年生です。
じーちゃんにつき合って歩くのはえらいです!きょーっからは、今日からです。
ツッコミ
じーちゃんと共に登校するのが素晴らしいです
(4) ある葬式での会話
佐野 : あら、山田さんだないの。あれ、ここんちと組内なんだっけ?
山田 : いや、ここのばあちゃんのほうのひっぱりがあんだよ。
佐野 : あら、そうっだったの~。おばあちゃんいい人だもんね~
これから淋しくなっからまめに遊びにきてやっといいわ~
山田 : あれ、あんたはだれのひっぱりだい?
佐野 : うちは、ほら、会社でお世話になったんですよ。
30年も部下だったんですよ。
解説(しおり)
いや~この間お葬式でこのひっぱりというのを耳にして耳から離れなくなりました。
血縁関係のことをひっぱりというんですね~。ばあちゃんのひっぱりといえばお婆ちゃんの方の親戚関係ということになります。佐野さんと山田さんは、共に50代の同級生同士でした。
ツッコミ
ひっぱり、ですけど綱引きじゃないですよー
(5) 文化祭への参加
川田 : 課長!先日お願いしました参加者の人選はいかがでしょうか?
課長 : わがいってにたのんががらだいじだよ。
川田 : 頼んでくれたんですね。若い人だと助かりますよ。パワーがありますからね。
課長 : そだよ。足いて~、肩いて~っつってる人はむがねがんね。
川田 : ことしもごじゃっぺのゲームやりますんで宜しくお願いします!
課長 : はいよ!わがいってらなんでも知ってっからよ~ぐゆっとぎな!
解説(しおり)
この会社では、毎年恒例の産業文化祭に会社をあげて参加します。取りまとめ役をやっている川田さんが製造部のある課長に確認をしていましたよ。若い人に頼んであるから大丈夫です。とのお答え。
わがいっては、若者 わがいってらは、若者達と複数形になります。
ツッコミ
元の言葉よりも長くなってるような…
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